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アニマルセラピーーアニマルセラピーの大変なところー(2/4)
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TVの電源を入れると、時々、動物と人の絆物語、なんてのをやってます。
全てのお話が終わると、感動だね~。動物って素晴らしいね~。拍手~…で、エンドロールが流れます。
さて。本当に、動物による癒しは「非の打ちどころがないくらいに素晴らしい」のでしょうか。
いえいえ、そんなことはアリマセン。
こっちは癒しを得たいんだよ、なんて思われるかもしれませんが、今回は敢えて、アニマルセラピーの「デメリット」をご紹介しましょう。
ワンちゃんなり猫ちゃんなりと生活をし始めたら、まずは何が必要でしょうか。
ご飯や水はもちろんのこと、そうです。「躾」です。
これ、上手に行かないと「イライラ」しますよね。何せ、相手にも感情がある、しかも、言葉が通じないのですから
通じ合えないときのもどかしさといったら「癒しと笑顔にあふれた素晴らしいアニマルライフ」とはもう、かけ離れているでしょう。
癒しを得るはずが逆に苛立ちが募る日々!!なんて可能性だって、否定はできないのです。
しかし、こうした一般家庭の普通のペットなら、もしかすると、多少のおイタは「仕方ないわねー」で済むかもしれません。
おバカな子ほど可愛いなんて言いますし、これには賛成しかねますけど「ダメ犬」なんてジャンルもあるくらいですから。
これが「セラピーをお仕事」にしている動物ですと、粗相は絶対にイケマセン。
それに、動物による癒し、というのは、人間側の期待値が結構大きいものです。
最初に申した通り、メディアにかなり「感動エピソード」を刷り込まれていますからね。
チョット夢を壊すかもしれませんよ。けれど、動物だって人を裏切ります。
だって、皆さん方と同じ、心ある者、ですから……ね?
当然、動物にも人間と同じく怒る権利だってあるし、本来は好きな人を選ぶ権利だってあるんです。
もちろん「あれ?」という失敗だってします。現に私は「人を踏まない」とよく言われる馬に、何度も足を踏まれています。
けれどそれを癒しの場に持ち込んでしまっては「癒されません」
馬やイルカなどの大型動物に至っては、少しのミスがとんでもない大事故にもつながりかねません。
ですから、躾、というよりは、しっかりとした訓練で、その権利を行使しちゃいけませんという事を教えられ、実行しているにすぎないのです。
セラピーアニマルだって、普通の動物です。
そんな、普通の動物に「好き嫌いしちゃいけません、怒ってはいけません」を教えるのがどんなに難しいか。
理性を持った人間の大人だって、我慢を重ねるのは難しい事なのに……。
さらには、そんな風に我慢をして人間の心を癒してくれる動物、を、癒す場や時間、というのも必要になってきます。
癒してもらってばっかりでは、とても不公平ですからね。
あと、動物を語る上では外せないのが、アレルギーの問題。
いっくら「癒されますよ~」といったって、触れ合うたびにくしゃみ鼻水、咳や蕁麻疹が出るのでは、肉体の方が持ちません。
これらに関しても服を着せてみたり、抜け毛の少ない犬種を生み出したり、現場では弛まぬ努力がなされています。
そして、何より。
癒しをくれた大切な動物は、いつか居なくなります。
それは、年齢による引退であったり、一般家庭、医療現場問わず、その命が尽きたり。
期待も、貰ったものも大きい分、失った時の悲しみも比例して大きくなるものです。
こればかりは、仕方がありません。
そうなると、癒しを目的としていた人が、セラピー開始時よりもさらなる痛みを負い、癒しを必要とする……ということさえ考えられます。
悪いことだとは言いませんが、それでも、出来るならそうはなりたくありませんね。
生き物との交流の難しさが、ここにあります。
それでも、上手に事が運べば、動物が生きる活力になる事は間違いないのです。
期待をし過ぎず、メリット・デメリットを十分に知ったうえで活用できたなら。
そこには「人と動物が互いに支え合い」共生する世界が生まれるのです。
貰ってばっかりじゃ、ダメなんですよ……?
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